古今東西ゲーム征行録

レトロゲーから最近のゲームまで幅広くプレイし記録を残していこうと思います。

No.1 テイルズ オブ ゼスティリア(PS3)

 

はじめに

今回からブログという形でゲームレビューを投稿していこうと思います、あまりこのような作業に慣れてないため誤字脱字などはあると思いますがお付き合い頂けると幸いです。

物語の核心に触れるネタバレには注意書きを添えようと思いますが、レビューという都合上若干のネタバレを含むことへの理解をお願いいたします。

本記事がプレイを検討されている方は判断材料、クリア後の方は1人のプレイヤーの感想として役に立つことを願います。

また今回のプレイ時間は30時間程度、難易度はノーマルで攻略情報はなしでプレイしました。

 

 

 

ストーリー/世界観

詳細は調べれば簡単に出ると思いますので省きますが、簡単に言うと主人公スレイが女の子と出会いそれまでの日常が変わり選ばれし者「導師」となるかなりの王道ストーリーです。

隠しEDがありますがそれはとあるタイミングで出現するマップにいるラスボスを倒すことで見ることができますが少しのアニメシーンのみで終わる上達成が難しいので、ストーリーは分岐等は無く一本道として考えていいと思います。

序盤の展開は王道であるが故にこれから先どのような冒険が待っているのだろういう期待を感じさせてくれるような面白みを感じました。

また世界観としても穢れを生まない天族とで穢れを生み出す人間と言う対比や、五大神や八天竜と言うワクワクするような単語が早い段階で登場しており材料としてはなかなかいい物が揃っていたとは思います。

しかし、中盤以降の展開が酷く王道であるのが良かったのに取ってつけたような設定でヒロインは交代させられた上に世界観の掘り下げがあまり行われず、前述の八天竜すらメインストーリーのみの場合一頭しか討伐できません。

これについては説明しすぎるとかっこ悪いというか興をそいでしまうので、大事なところは秘めています」と製作陣は発しているが、そんなことはないと私は思いました。そもそも世の中で大作として扱われるRPG(例えばTESシリーズなど)の多くは緻密な世界観とそれらを説明した読み物やクエストなどを随所に用意した上でプレイヤーに遊ばせることでまるでその世界で暮らしているような深い没入感を得られることを可能にしていますが、今作はカッコつけのためにその作業を放棄してしまったため最後まで没入感を得られることはありませんでしたし、スレイの遺跡好きと言う設定を活かし遺跡を巡る中でプレイヤーに過去の歴史を開示しより深く世界観に引き込むようなことができたという手法が考えられるだけに凄く残念だと思いました。

他にも目的や動機がはっきりしないキャラクターが多いため、主人公たちが起こした行動に納得がいかないことやラスボスが最終的な目的や行動原理が分かりにくいのも辛いポイントでした。

 

 

ネタバレ注意!

「ロゼ」

今作が炎上する理由にもなったヒロインですが、そもそもの設定が穢れを生まない暗殺者(おまけに霊応力も高い)というかなり盛られた設定であり、他のRPGなどにあるような物語の中で成長していくという描写があまり無い上、周りのキャラクターたちからがロゼを持ち上げるような発言することが多かったため、穢れを生まないのなら殺人すらも正当化されている様に見えあまりいい気分ではありませんでした。

中盤で殺すことでしか鎮めることができない憑魔であるフォートン枢機卿を殺すか否かの判断をスレイは強いられるのですが、そこでロゼが殺すの私の仕事だからとあっさりと殺してしまったことはスレイの導師としての決心を軽んじているような印象を受けました。

一国の姫として妨害を受けたり空回りしつつも国を良くするために精一杯頑張るアリーシャと全てにおいてスペックが高い超人ロゼとではあまりに毛色が違ったため、そのギャップに違和感を覚える人は少なくないのではないかなと思いました。

 

「ライラ」

能力に対する誓約のため終始あまり多くを語らないため世界観の掘り下げが進まない大きな理由の一つとなりました。

この誓約という設定はそもそも内容が明らかなっておらず、そのおかげでライラの過去は明らかにならなかった上に各地のオブジェクトの説明がされなかったので、導師の導き役であるライラにつけるような縛りではなかったのでないかと思いました。

 

「浄化できない=殺害なのか?」

穢れが浄化できない敵をスレイたちは殺すことでしか解決していません、例えばエドナの兄アイゼンはエドナがスレイたち一行に加入する大きな動機にも関わらず本筋では触れられず、サブエピソードでラスボスであるヘルダルフを救う力の温存のために浄化されることなく討伐されてしまいました。そのヘルダルフもまた、事前のイベントでヘルダルフを救うという決心をしたスレイ達に討伐されました。結果的にスレイたちは浄化できない憑魔を全て殺害することでしか解決しておらず、かなり後味の悪い結末となり「他の道もあったのでは?」と思わずにはいられませんでした。

 

 

 

 

システム

「戦闘面」

攻撃は基本的に4連携まででカードや回避などでSP(スタミナゲージ)やBG(必殺技ゲージ)を貯めると言うスタイルになっています。安易に攻撃に4連携までという制限をつけたことで畳み掛けたいタイミングで攻撃を叩き込むことができないなど不便な点が目立ちました。

一方、属性による4すくみや人間のみが使える奥義(×ボタン)と天族のみが使える天響術(×ボタン)、そして両種族が使える特技(○ボタン)の3すくみが存在しておりこれらを意識しなければ相手に効率的にダメージが与えられないので色々な技を使うことができ楽しめました。

またBGゲージを消費し天族を身に纏うことで神依という強化モードになれますがこれがかなりのバランスブレイカーであり、後半はこの状態にならないと雑魚戦ですらそこそこ苦戦したので神依状態であることを前提に全ての戦闘の難易度調整が行われているように感じました。そのためボス前のBGゲージを温存しておきたいタイミングでも神依を強要されることが多い上、折角上手くBGゲージを温存できていたとしてもどうでもいい雑魚戦でAIが勝手にBGゲージを浪費することなどが多発しストレスを感じました。

その神依も属性に応じて強さがかなり異なり、特に優秀な天響術(主にブレイズスウォーム)を持つ火神依と回復とリーチに優れた水神依の2つが使いやすく、後半は特定の属性を弱点に持つボスが減った影響から特出したパワーを持たない地神依や全体的に使いにくさが目立つ風神依を使うことがあまり無くなったのでそこは勿体なかったのでないかと思いました。

 

「装備面」

装備についているボーナススキルをスキルシート上で繋げるもしくは重ねることで色々な追加効果が発生するので色々な組み合わせを試すことができるので、拾ったときには使えない装備だったとしても後で有用な装備に化けることがあり楽しめました。

またあまりこのような複雑な要素を考えずステータスを優先して装備することでも、十分戦えるのでその点は難しい要素が苦手な方でも楽しめるので良いのかなと思いました。

 

「イベントシーン」

ゲーム内の進行度に応じてセーブポイントや宿屋での宿泊の際にイベントシーンが発生するのは、プレイヤーに仲間たちの性格や仲の良さを伝え世界観に引き込む上でとても役に立っていたと思います。

 

「石碑」

石碑に触れることでAPと呼ばれるバトルアクト(他のゲームでいうパークの様なもの)を発動させるためのポイントが貰えますが、1ポイントしかもらえない上に石碑に書いてある内容はヘルプメニューに記載しておくべきレベルのシステム解説であるため、後半には読む気が起きませんでした。そのため、石碑には世界観を掘り下げる様な文章を記載するなどしてシステム解説は最初から全て読めるようにして欲しかったです。

 

シンボルエンカウント

本作はシンボルエンカウントを採用しておりシームレスに戦闘が始まると謳っていますが、実際のところあまりシームレスに戦闘が始まることはなく戦闘中には少しFPSが低下し戦いにくいという点が目立ちました。また周りをエネミーに囲まれると回復するまもなく連戦を強いられるためストレスを感じました。

 

「カメラワーク」

最悪

この一言に尽きます、少しでも端っこに行くとカメラがキャラクターに寄りすぎるため状況がかなり把握しにくいです。キャラクターが見えてるだけかなりましな方で酷い時になると岩などのオブジェクトにカメラが吸い寄せられそれしか見えない時すらあります。回避や防御を前提としたバトルシステム故にかなり苦しめられました。

 

「ダンジョンギミック」

それぞれの天族の能力を使い突破できるダンジョンが用意されてる点は良いと思いました、ただ謎解きのようなものはあまりなく能力さえ使えば突破できるようなものばかりなのは少し気になりました。それと水の試練だけは他のダンジョンに比べかなりストレスを感じるギミックが多く強い不快感を感じました。

 

ビジュアル/キャラクター

「グラフィック」

プレイしたのがPS3ということもありPS4版に劣るところはかなりありましたが戦闘中以外の処理落ちはほとんど無く、綺麗な景色が眺めれるポイントも複数あったので及第点ではあったと思います。

 

「ムービー」

本作はアニメムービーを採用しており、かなり気合いの入った作画のムービーが挿入されます。声優さんも有名な方を多く起用しているため、まるで本物のアニメのようなムービーを見られるのはとても良いポイントだなと思いました。

 

「キャラクター」

全体的にキャラクターのデザインは良く、それそれの服装もキャラクターのイメージに合ったものでありかなり満足できました。

性格もそれぞれが特徴的であり誰かが埋もれると言うこともなく楽しく旅ができたのかなと思います(一部イベント除く)。

 

音楽

「オープニング」

本作のオープニングはSuperflyの「White Light」なのですが、音楽自体の良さも当然ながら前述の作画の良さも相まってかなり良いものに仕上がっていると思います。ここに関してはさすがテイルズシリーズだなと思いました。

 

「BGM」

BGMに関しては「ゴッドイーター」シリーズやアニメ「鬼滅の刃」のBGMを手がけた椎名豪氏を起用していることもあり、やはりサウンド面はこのゲームの数少ない評価できる点の1つだと思いました。個人的には水の試練とティアマト戦のBGMが印象に残っています。

 

難易度

今回はノーマルでプレイしたのですが特に問題もなくノーマルと言っていい難易度だった思いました。しかしノーマル以上の難易度では獲得経験値が減るという調整がなされており、これがノーマル以上の難易度でプレイしようと思った際にかなり気になりました。

ただ難易度選択の幅は広いためアクションが苦手な方も難易度を下げれば十分楽しめると思いますし、強いエネミーを倒し達成感を得たい方も上記のことが気にならないのであれば難易度を上げ十分歯応えのある戦闘を楽しむこともできると思います。

 

評価(AからEの5段階評価)

ストーリー/世界観

E

 

システム

E

 

ビジュアル/キャラクター

D

 

音楽

B

 

難易度

なし(選択可能なため)

 

総合

D


 

最後に(ややネタバレ注意)

今回は以前から制覇したいと思っていたテイルズシリーズをやってみたいと思い、とりあえず色々な意味で有名なゼスティリアから手をつけようと思い始めました。最初こそ「意外と面白いゲームなのでは?」と思わせてくれましたが、やはり前評判通りヒロイン離脱後から徐々にシナリオが狂い始め最終的には穢れを生む全ての敵を皆殺しすることで事態を解決するという暗い結末を迎えました。

醜くも足掻いたが打つ手がなくバッドエンドに至るのならばまだ納得もいきますが、そのような描写もなくスレイ達は聞こえの良い「救い」という言葉を使い綺麗事を述べながらも敵を殺す事でしか問題を解決していなないことや、そのような状況のなかでも互いを持ち上げるような発言を繰り返すことが多い優しい仲間たちが何故かアリーシャのことになると「真の仲間」や「そぞろ涙目のアリーシャ」など貶めるようなも言動をとるので激しい違和感を覚えました。

せめてバッドエンドならば何かしらメッセージ性が欲しかったですが、そういったものも見つけることができなかったのでとても残念です。

今作はとにかく全体的に仕上がりが悪いので、巷でよく言われているようにヒロイン変更によるシナリオ改変による影響で他の部分のブラッシュアップが間に合わないまま発売となったと思われ炎上しても仕方がないのかなと思いました。(少なくとも製作陣の某プロデューサーは他の作品でもやらかしているので真実味はあると思う)

あちこちに放置された問題点や一部キャラクターの扱いや言動からかなりの不快感を感じることが多いですがプレイ不能というレベルではないので、それらを許容できるのならばこのゲームの問題点を自分の眼で確かめるという意味でもプレイしてみるのは悪くないのかもしれません。(私は2周目やエンドコンテンツに手を出す力は残りませんでした)

 

 

これをもって今回のレビューを終わらせて頂きたいとおもいます。ここまで私の拙い文章にお付き合い頂き、誠にありがとうございました。

 

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